-講 評-
歴史的町並みが残る伊勢市河崎地区に建つ木造の店舗建築である。
背後にある隣地の土蔵が屋根越しに見えるように体験作業棟の高さを抑え、前面道路と平行に建築物を配置する地域の慣例を踏襲して平面型を撥状に変形させている。
さらに、延焼の恐れのある部分に木造の「刻み囲い」を用いるための下地や納まりなど、準防火地域に位置するにも関わらず木造を可能とする工夫によって歴史的景観の維持向上に貢献している。
室内は小屋組架構を露出させた真壁構造を採用し、また体験作業棟と店舗と既存住宅の間に瀟洒な坪庭を設け、奥行きのある老舗の印象を醸し出している。
図面では表現できない寸法や納まりなど、地域の伝統様式の再生、活用に努力している設計者の細かな要求にも、施工者が積極的に応えることによって実現された密度の高い作品であることが評価された。
【浜口賞】
初代建築審査委員長で建築に造詣が深く私財を提供され創設。地元の設計並びに施工された小さくてもすばらしい作品に与えられる賞 |